立憲民主党の「消費税還付法案」を支持する

最近の野党は、文字通り右も左も消費税減税を主張しています。これは考えてみれば不思議なことです。なぜなら、世論調査の結果から分かるのは、世論は消費税は上がるときは反対運動が広がるが、いざ上がってみると減税運動にはそこまで積極的にならない、と…

鉄の夢をみる夜の狼たち

2023年4月末、日本ではゴールデン・ウィークに入った頃、ロシアのバイカーギャング集団ナイト・ウルヴズ(ナチヌイエ・ヴォルキ=夜の狼)が、5月9日の第二次世界大戦におけるロシア(ソ連)の戦勝記念日に合わせて、ドイツの首都ベルリンへの恣意的ツーリン…

「表現の自由戦士」は権力がお好き

現代オタクの心性について鋭い分析を加えた墨東公安委員会氏の記事「チンドン屋たちの暴走 SNS時代の「オタク」と表現の自由、赤松健氏の出馬について」(https://bokukoui.exblog.jp/32726091/)がバズっています。私自身も興味深く読みました。特にオタク…

シルバー民主主義なるものは存在しない――Here is no such thing as Silver Democracy

世の中には、存在しないものを存在すると言い張って社会を惑わす人たちが存在する。存在しない大量破壊兵器が存在すると主張した大統領は戦争を引き起こしたし、差別やハラスメントをこれからも続けていきたい人々は「キャンセルカルチャー」という存在しな…

オープンレターについて

前回記事で言いたいことはほとんど述べてしまったのだが、補足として、オープンレター「女性差別的な文化を脱するために」に対する誹謗中傷に関しての意見を述べておく。念のため言っておくが、これはあくまで一署名者としての考えである。 オープンレターに…

いわゆる「ボーイズクラブ」問題に寄せて

昨年三月頃に明らかとなった呉座勇一氏による誹謗中傷事件の被害者に対して、これまで見るに堪えない激しい二次加害が行われている。その件に関して、考えていることをここでいくつかコメントしておくとともに、ジェンダーや他の差別問題に対してバックラッ…

書評:綿野恵太『「差別はいけない」とみんないうけれど。』(平凡社、二〇一九年)

「差別はいけない」とみんないうけれど。 作者: 綿野恵太 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2019/07/18 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る この本の結論、すなわち、我々は「経済と差別というふたつの領域で平等を求める」「ポリ…

『あいちトリエンナーレ2019』における「平和の少女像」弾圧事件について

国際芸術祭『あいちトリエンナーレ2019』のプログラムの一部「表現の不自由展・その後」では、日本国内の公立美術館などで表現弾圧を受けた作品、たとえばヒロヒト(昭和天皇)の肖像画を燃やす映像などとともに、「平和の少女像」が展示されていました。こ…

耽美的ユーフォニアム

部活動という制度が、否定的な意味で扱われるようになって久しい。他国なら地域や民間のクラブでやるような活動を学校教育の場で行うという独特のシステムは、すでに理念と実態の矛盾を隠しきれなくなっている。「ブラック部活」という言葉も登場してきてい…

言説の土壌

「安倍政権を倒したいならば、左派は経済を語れ」 これが、ネット上において国政野党に票を集めようとする運動のスローガンになって久しい。もちろん、野党が経済政策を充実させ、活発に支持を訴えることについては、大いにやればよいと思う。しかし2点ほど…

『主戦場』を見た後に

日本軍「慰安婦」問題を描いたドキュメンタリー映画『主戦場』(ミキ・デザキ監督)が評判となっている。上映している場所が少ない(関東では2館。私が見てきた5月上旬の段階では1館)こともあるが、常に満席。事前予約は必須で、平日の午前中ならばなんと…

「反ヴィーガニズム」問題について

5月に入ってから、twitter上ではヴィーガンを攻撃するようなツイートが、目立って増えてきている。なぜ突然そのような現象が起きたのか。一説では、まとめサイト(アフィリエイトサイト)における仕掛けがあるという。 話に聞いたところ、反ヴィーガニズム…

映画『デトロイト』あるいは人種妄想をめぐるグレートゲーム

映画『デトロイト』を見てきた。 見る前に知人から胸糞映画だと言われて覚悟していたのだが、実際、胸がスッとするようなカタルシスは最後まで訪れず(史実に沿っているのだから仕方がないが)、見た後も頭痛がしてしばらく落ち込んだままだった。 この映画…

無縁なるフレンズ

けものは居てものけものは居ない――だが、「けもの」とは「のけもの」である。 ワーウルフ、すなわち人狼の伝説は、ネウロイ人――かのイキリ軍事オタク御用達のアニメにおいて、それが敵対者として刻印づけられた名前であるのは示唆的であろう――に関する記述と…

国家/内戦/シン・ゴジラ

地の上にはこれと並ぶものなく、これは恐れのない者に造られた ――ヨブ記41.33 近代国家を聖書に出てくる大怪獣リヴァイアサンに喩えたのはホッブズであった。ホッブズによれば、人間の自然状態は万人の万人に対する闘争であり、そこに安息は無い。従って人間…

弾圧と大衆運動

5月28日、経済産業省の前で抗議行動を行っていた3名が、警察によって不当にも逮捕された。ある公官庁が関わる社会問題に対して市民が当該官庁の前で直接抗議を行うことは、憲法により保障された市民的権利の一部であるし、その際、抗議者が敷地の境界線…

2013年ベストイレブン

バイエルン型4−1−2−3 早見沙織(雪乃) 赤崎千夏(マキ) 阿澄佳奈(こまちゃん) 茅野愛衣(愛衣) 大久保瑠美(神月) 悠木碧(小町) 種田梨沙(縁) 日高のり子(理事長) 名塚佳織(一穂) ことり(れんげ) 小松未可子(戸塚) 恒例なので。

円環と双極性――暁美ほむらの「叛逆」についての試論

―女は聖母になる。そして同時に魔女にも。 ―カール・シュミット 魔法少女の運命、すなわち罪と罰のエコノミーに対して、純粋なる暴力がふるわれた。罪はまどかによって引き受けられた(annehmen)。それによってあらゆる罪は贖われた。つまり、あらゆる時間の…

「長期的持続」のスペクタクル ――漫画版『ARIA』の風景について

(初出は2003年、某サークル正会誌) 19世紀全般を通して、ヨーロッパにおける都市の景観は大きく変容した。産業革命は都市人口の急増と生活スタイルの変化をもたらし、技術革新が近代的な建築物を登場させた。そして、海外貿易の発展が世界中から様々な…

大空と大地の中で――あるいは銀翼のファム

―ここにもまた神々がいて、統治したもう。神々の尺度は偉大である。だが、とかく人間は自身の指尺によってそれを測りがちである―ヘルダーリン ある有名なトリビアに、「料理研究家の服部幸應は調理師免許や栄養士免許など一切の調理にかかわる免許・資格を取…

エトス・ノモス・福島

福島第一原子力発電所(フクイチ)の事故から早2年が経とうとしている。「国民」は次々と新しいニュースに沸く。やれ中国から有毒ガスが飛んでくる、朝鮮の核実験によって放射能が飛んでくると他国への排外感情を満たし、核実験などと比べ物にならない多大な…

和奏はいかにして母の曲を完成しえたか、あるいは「主体」――アニメ「TARI TARI」における"過去の克服"について

少し前に「けいおん!内面論争」というものがあった。契機になったのは「けいおん!」には内面がないのではないか、という主張があるブログにてなされたことである。「けいおん!」には「死にゆく私」や「成熟という困難」という、近代的な主体を形成するた…

「一般意志」とは何か

紙屋研究所の紙屋氏が東浩紀の「一般意志2.0」をdisっているのだけれど、何か本質を外している気がします。 ■架空インタビュー2.0 『一般意志2.0』ふたたび http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20120306/1331001376 特に違和感をもったのが、「差異の総和…

2011年ベストイレブン

毎年恒例のベストイレブン。 豊崎愛生 (ファムファンファン) 小倉唯 喜多村英梨 戸松遥 (アリス) (高梨奈緒) (繭) 松嵜麗 井口裕香 (水城花音) (近衛スバル) 松本まりか 堀江由衣 植田佳奈 田村ゆかり (風守) (夏芽真砂子) (前田春子) (塔原明日葉) 高垣彩陽…

つねちゃんTVの宣伝

面白いです。長いですが。 とくに、ソウルの黒い彗星特派員のレポート(二番目の後半)などが見所です。 ・日帝本国人さん、いらっしゃーい♪ ・「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」啓発ビデオ 番組中ロベスピエール先生が、自分は19世紀から来たとか人権宣言をつ…

弔いと生政治

関西で行われている反原発デモのひとつに、「葬送デモ」なるものがあるらしい。福島において被曝による被害が近い将来多発するであろうことを、「葬送」という形で可視化し、問題提起を行うというコンセプトのデモのようだ。 このデモについては、ネットを中…

「反戦と抵抗のフェスタ2011 がんばらないよ!ニッポン」に賛同します

http://d.hatena.ne.jp/KYfesta2011/20111013/1318517161 反戦と抵抗のフェスタ2011 がんばらないよ!ニッポン お上も下々も、右も左も「がんばろう」? 「日本はひとつ」じゃない! ずっと異常事態だったでしょ? 3.11にはじまったことじゃない! 日時 …

告知:8/24(水)かっぺの逆襲@原宿デモ

今日になりましたが、19時半から「かっぺの逆襲」という怪しげな団体が原宿・渋谷でデモを行うそうです。 「かっぺ」って何? デモに来ればわかるはず!(たぶん) 以下転載 http://d.hatena.ne.jp/Kappe/20110823/1314075863 日にち:8月24日(水) 集合…

過ぎ去ろうとしない無償化除外問題――「月刊イオ9月号」に寄稿させていただきました

2010年に始まった高校無償化政策は、中井拉致問題担当相(当時)によるやおらの難癖をきっかけに、朝鮮学校を除外するというとんでもない差別をともなってスタートしました。それに対して大きな無償化除外反対運動が行われたにもかかわらず、結局2010…

<剥き出しの生>と非常事態

3月11日の夜、菅直人首相は大震災の発生後、初めての首相会見を開いた。わたしはそれをテレビで見ていたのだが、強烈な違和感をもったことを覚えている。会見の内容自体は、震災直後に首相が発するコメントとしては無難なものだったと思う。問題は、その呼び…