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歴史学への敬意・無名の死者・「個人」であること

http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20060318 酷い。というか、うーん、ここまで頭が悪いとは思えないんだけど。 関東大震災時の朝鮮人虐殺については、ググるなりopacなりで検索すればいくらでも専門家の著書や論文が見つかるはずです。で、「未曾有の災害の…

おすすめ教科書

で、まあついでに他の教科書も読んでみたわけですが*1、個人的に帝国書院のが最もおすすめできると思いました。 まず、一番キャラが萌える日本も含めた世界の各地域が連動して進む「世界史」を教えようとしているところがいい。文脈的に世界から切り離された…

合衆国独立やフランス革命に比べて説明しづらいのはわかるんだけどさあ

つくる会の教科書(新版)を読んでみた。さすがに旧版よりはマシになっていたのだが、やはり非専門家が書いた教科書だなあという部分が多々見られた。たとえば http://www.tsukurukai.com/05_rekisi_text/HP_kaitei_pdf/kaitei_43.pdf 43産業革命と市民革命 …

抗日7君子事件

http://d.hatena.ne.jp/Jonah_2/20050420#p1 これを読んで、ゲッティンゲン7教授事件*1を思い出した。 もちろんハノーヴァー王国の後ろにはメッテルニヒ体制があるし、イギリスの影を見た人もいただろう。3月前期におけるドイツ自由主義は全国的なもので、そ…

「日常」で、「利己的」で、でも「全体主義」

ナチズムの経験に学ぶべきは、全体主義を生むような、民衆の「非日常」へ向かう熱狂性についてではなく、全体主義が持つ「日常」的性格なのではないかと思う。1929年の大恐慌に伴う大失業時代という「非日常」を、ナチズムは収拾した。1920年代の相対的…

歴史認識について

日本人の歴史認識の特徴は、右派左派問わず1945年を「歴史の終わり」として認識していることではないだろうか。右派は1945年を悠久の歴史を持つ「日本」国の滅亡であると考え、左派は明治以後日本が進んだ「特有な」近代化の末路として考える。なん…

歴史に対しては、できるだけ党派性を排除して向き合いたいものである。しかし、この「党派性を排除して」という言説は、多くの場合むしろ党派的に偏った立場から発言されることが多いので、難しい。 たとえば「南京大虐殺はあった」と言うと、すぐに「中国の…

メモ 「新しい歴史運動」(メディアの用語を用いるなら)のなかには種々雑多な潮流が存在するとはいえ、「歴史工房」の「日常史派」はこのような我々のイメージとの修正と原則的には何の関係も無い。 … 彼らはむしろ国民史的な伝統に批判的であり、多くの点で…

3月前期西南ドイツ改革史の考察

特に古い概説書を読むと、しばしば「限界があった」と評価されている西南ドイツの改革だが、別に農地開放だけが改革ではないのだし、個人ではなくゲマインデを基礎とした憲法というのも、時代を考えればそれなりに合理的だったのではないかなあ、と思ってい…

「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を読む4

・第4章 近代日本の進出>1.欧米の進出と幕府の危機>41欧米列強のアジア進出 http://www.tsukurukai.com/05_rekisi_text/rekisitext_index.html# 産業革命と市民革命は,欧米の社会に個人の自由を広げ,物質的な富をもたらした。しかし,自由の拡大は人々…

ヨーロッパの歴史―欧州共通歴史教科書

「ヨーロッパの歴史―欧州共通歴史教科書」は、ヨーロッパ統合の時代において、あらゆるEU諸国で共通に読まれるべき教科書として、フレデリック・ドルーシュ氏監修の下、12名の歴史家によって書かれ、1992年に出版されました。その後、改訂を繰り返し、現在で…

「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を読む3

・第3章 近世の日本>1.戦国時代から天下統一へ>25ヨーロッパ人の世界進出 両国は,アジアにおけるキリスト教の布教と交易を求めて… 確かに宣教師はヨーロッパ外におけるキリスト教の布教に燃えてたりしましたが、「国としては」やはり交易目的でしょう。…

『ARIA』つながりというわけではないが、ヴェネツィアの話。 ヴェネツィア共和国という国家は、19世紀前半と後半で歴史的な評価が全然異なる。19世紀前半は、共和国滅亡からまだ時間があまり経っていないこともあって、13世紀からほとんど変わらなかった、そ…

「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を読む2

前回は作る会教科書の序文における、歴史学的手法に対する誤解を招くような表現について指摘しました。さて、なぜそのようなことが書かれてしまったのでしょうか。 続きを読んでいきます。 しかしそうなると、人によって、民族によって、時代によって、考え…

「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を読む

なんだか個人的に許さんモード&現実逃避モードが発動したようなので、もう少しこの話題引っ張るよー。 http://www.tsukurukai.com/05_rekisi_text/rekisitext_index.html こっそり一部公開していた。全部ではないところに何か恣意性を感じなくもないが(笑)…

「つくる会」歴史教科書 都中高一貫校で採択

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040827-00000002-san-soci 最近使ってないのでこのカテゴリーにしてみた。 うーむ。とりあえず、歴研でも貼っとくか。 http://wwwsoc.nii.ac.jp/rekiken/archives/kyokasho1.html http://wwwsoc.nii.ac.jp/rekiken/arch…

宮台真司は自分が何を言っているのか分かっているのか

http://www.miyadai.com/index.php?blogid=1&archive=2004-7-25 西欧の王権についての理解が、靖国大好きっ子さんたちと全く一緒なんですけど。 西欧の歴史において、単純に「王は高貴なれども聖ならず」と言うことはできない。たとえば中世〜絶対王制期にか…

ビーダーマイヤーのドイツ 自由主義のドイツ

今度はビーダーマイヤーで飛んでくる人が増えた。ビーダーマイヤーについては実は今結構引っかかってるトピックなんだよね。 ナポレオンが敗北し、ウィーン体制が成立すると、特にドイツやオーストリアでは強固な反動政治が行われ、市民の政治参加は厳しく制…

国際商業の歴史に関する論文を読んでいて、面白い議論を見つけた。それは、「定期市」がどこに立つかによってヨーロッパ国際商業の変遷が分かるというもの。中世における商業の復活がまず定期市から始まったように、定期市の存在はその地方で商業活動が活発…

国旗の歴史

国旗・国歌問題についてまたいろいろ言われている昨今だが、歴史的にいえば、まあ日の丸は敗戦後変えておくべきだったと思う。 一般的に、国旗というものはその国の体制が急激に変化したときは、その体制の理念に応じて変わるものだ。記憶に新しいところで言…