「ワイマール共和国の不幸は、共和政という物語を誰も信じてくれなかったことだ」
出典は忘れた。
別に心から信じていなくてもいいから、極右民族主義勢力には賛同できないけれど共和政を最後まで信じることができなかった知識人たち―トーマス・マンやマイネッケ―がせめて共和国を支持している振りだけでもすれば、ワイマールはなんとかもったのかもしれない。グスタフ・シュトレーゼマンは、初期には王党派の政治家として共和国の政治の不安定化に貢献した。しかし、首相・外相を歴任した最晩年には彼は共和国を少なくとも信じようとはしていたし、死ぬ直前にはもしかしたら本気で信じていたのかもしれない。ともあれ、その結果ドイツは20年代の安定期を手に入れたのである。