「現実主義」

「現実主義」という言葉は、目前にある問題に対して、固定的な理論に固執するのではなく、最善の結果を目指して柔軟に対処していく立場を指すものだと思っていた。さて、世の中の自称「現実主義者」たちは、今回の人質問題の解決方法に対して、個別具体的な問題として一度でも語ったことがあっただろうか。確かに情報が少なかった。だが、テレビや新聞などにおいて分析され解説される具体的な現地の状況に対して、主張されるのは「テロに屈するな」というお決まりのお題目。せいぜい、「テロに一度屈すると、つけこまれてさらにテロに狙われやすくなる」という、根拠の無い類推だけである。まるで昔の教条主義マルクス主義者みたいだわ。具体的に、ある局面状況においてテロリストは何を要求しているのか。そして要求を飲んだ場合、あるいは飲まなかった場合、その局面状況を考えればどのような事態が予想されうるか、という考察をまずして、始めて過去の事件や、一般的な理論などとの比較が可能になるのではないのか?自作自演疑惑など追及している暇があるなら、まずそちらを考えたほうがよほど「建設的」ではないのか?
「非現実主義」とは無縁の、「政権担当能力」を十分有した政府のみなさんが、そんな検討をしていない、あるいはしていても政治的決定に生かされていない、なんてことはまさかあるわけないんだけれど。