ナチス略奪?のシスレー名画、62年ぶりに仏へ返還

http://www.asahi.com/international/update/0621/002.html
つい先日、妹とこの話題について話していたところなのでびっくりした。
アルフレッド・シスレーは19世紀印象派の代表的画家の一人である。印象派の画家たちは、矢のように移り変わっていく世界の、その一瞬の美しさを捉えようとした。初めて「鉄道」を、絵画のモチーフとして使ったのも彼らであった。常に新しい技法に挑戦し、より超越的な表現を求ていく印象派は、次第に同時代の人々に受け入れられていった。しかし、その中でシスレーは一人、ただ風景だけを描き続けた。「私はいつも空から描きはじめる」その言葉どおり、彼は特に美しい空や雲を描いた。彼が描こうとしたものは、「変わらないもの」―フェルナン・ブローデルならば「ロング・フェレ(長期的持続)」と呼んだであろう時間―そしてその中に秘められた一瞬の輝きだった。たとえば、人々の生活を一変させる大事件であろう洪水も、シスレーの筆にかかればそれは悠久の時間の流れの中に落としこめられてしまう。そうすることで見える美しさを、シスレーは知っていたのだ。だが、その一見地味な作風は、生前世の中に受け入れられることはなかった。
そのシスレーの絵が、第二次世界大戦や日本のバブル経済の中で翻弄されてきたというのは、なんとも皮肉な話だと思う。
あと、芸大志望の妹がシスレー好きというのも正直どうかと思う。