論考

鉄の夢をみる夜の狼たち

2023年4月末、日本ではゴールデン・ウィークに入った頃、ロシアのバイカーギャング集団ナイト・ウルヴズ(ナチヌイエ・ヴォルキ=夜の狼)が、5月9日の第二次世界大戦におけるロシア(ソ連)の戦勝記念日に合わせて、ドイツの首都ベルリンへの恣意的ツーリン…

ベナンダンティ セカイ 説教くささ

ベナンダンティの話を。 ベナンダンティというのは、中世末期、イタリアのフリウーリ地方ではキリスト教化以後も残存していた異教的な農耕儀礼のことである。内容は、ある夜になると選ばれし男女が収穫物を守るため魂を狼の姿に変えて悪霊と戦うという…まあ…

バーリンは反啓蒙主義の先駆的人物としてジャンバッティスタ・ヴィーコを挙げる。 また、彼はヴィーコをして「自然科学の領域と人文科学のそれとの間の大きな裂け目を最初に作った」とも評している。 啓蒙主義によれば、芸術家が作品を創造する際、準拠する…

七十二文字について(注:本文中に根拠を求めても無駄なことしか書いてません)

名辞は遺伝子なのかなあっつって。我々の認識における差異とか同質性は、遺伝子の差異とか同質性によって直接規定されていない−というか、遺伝子自体が、それらを規定する根拠をもたない−でしょ。さまざまな条件によってある事物をどのように区切るかは決ま…

秋山瑞人に関して

どこかで、秋山瑞人が唯物論者だから気に食わないのかみたいな記述があったので、少し考えてみた。 唯物論者といえば、アナール以降の歴史学は、構造主義などの影響を受け、人間の主体性の領分というものをどんどん狭めていく傾向にあるわけで、そういう意味…