秋山瑞人に関して

どこかで、秋山瑞人が唯物論者だから気に食わないのかみたいな記述があったので、少し考えてみた。
唯物論者といえば、アナール以降の歴史学は、構造主義などの影響を受け、人間の主体性の領分というものをどんどん狭めていく傾向にあるわけで、そういう意味では僕も多分に唯物論的ではあります。ただ、世界をたとえば多数の歯車が複雑に絡み合って出来ている大きな機械にたとえるなら、僕はむしろ歯車と歯車の間にある不整合に期待をかけたいと思う。たぶん機械の外側から歯車を逆回転させるのは無理で、というか我々は機械の外側に立つこと自体不可能であると思うのですが、歯車と歯車の間の不整合には歯車を逆回転させる可能性を持っていると考えます。なぜ歯車を逆回転させなければいけないのかというと、それは歯車に縛り付けられて歯車と歯車の間でミンチにされそうな人がいるからなんですが、(逆回転まではいかなくとも、少なくとも不整合の間をすり抜けることはできるはず)まあ、要するに僕がピュアだからなんですが、なんだろ…秋山みずぴーは、そのミンチ必至な人を殉教者に仕立て上げながら、他方で歯車と歯車の間の不整合という可能性を超越論的に埋めようとしていて、それが気に食わない。猫の地球儀の坊さんってそういう役でしょ。だから、僕的には彼は徹底した唯物論者ではないと思う。