返答及び追記
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20060318の追記。
何を訂正すればいいのか分かりません。ホロコーストの犠牲者は600万人以上といわれています。そして、その犠牲者の名前を回復する作業は、膨大な労力がつぎ込まれているにも関わらず、すべての犠牲者を特定するに至っていない。なお残る無名の死者たち、という事態に、我々は直面しているわけです。
関東大震災の朝鮮人虐殺について何冊か調べてみたところ、虐殺の動機として明確に「不逞鮮人」意識があり、それは3・1独立運動の記憶や日本人の職を奪う外国人労働者という意識を原因とする具体的な恐怖・憎悪の感情に起因していた、というのが一般的な理解のようです。少なくとも流言飛語の対象が朝鮮人であったことは偶然であった、あるいは抽象的な「異物」として朝鮮人が選ばれたとする見解は存在しませんでした。虐殺の中には警察が保護した朝鮮人集団をわざわざ警察署まで押しかけていって殺した例もあり、これは明らかにジェノサイド的心性から発せられたものだと言えます。なお、軍隊・警察が直接的に虐殺に関与した事例もあり、また政府も事件の規模をなるべく小さく見積もろうとしたり、虐殺責任者の処罰を厳正に行わなかったなど、必ずしも虐殺に国家責任が無いとはいえません。*1
(追記の追記)
早いな。
その努力がなされているのを知らない?
だから、
その犠牲者の名前を回復する作業は、膨大な労力がつぎ込まれているにも関わらず、
と書いたでしょうに。
目を通した本。
- 姜徳相『関東大震災』(中公新書)
- 関東大震災五十周年朝鮮人犠牲者追悼行事実行委員会・調査委員会編『関東大震災と朝鮮人虐殺 : 歴史の真実』(現代史出版会)
- 山岸秀『関東大震災と朝鮮人虐殺 : 80年後の徹底検証』(早稲田出版)
- 山田昭次『関東大震災時の朝鮮人虐殺 : その国家責任と民衆責任』(創史社)
あと、概説をいくつか。
>ジェノサイド的心性
自警団は十分に組織され、計画的に朝鮮人を殺害していったという例が本庄警察署襲撃事件です。この事例では、虐殺を行ったのは自警団です。警察は止めることはできませんでした。わざわざ警察署を襲撃してまで朝鮮人を殺さなければならなかった、ということは、まさに計画性・組織性の現われであり、ジェノサイドと言ってよい。なお、1次資料については上記に上げたような本を参照しろ、としか。
(追記の追記の追記)
上に挙げたfinalventさんのコメント欄で、いろいろ書いてたりするよ。