危機をつくりだしたのは誰か

http://birthofblues.livedoor.biz/archives/50700938.html
これは酷すぎる。
伊藤さん殺害はタリバンが犯人とまだ決まったわけではないけど、とりあえずそう仮定する。
ペシャワール会の発足は1983年。タリバンの発足から政権獲得・政権失墜まで全てを見てきたわけだ。少なくとも、日本人の多くがタリバンという名前を知った2001年よりずっと前から、タリバンと付き合ってきたわけだ。
で、この記事書いた人はそういう人たちに対して「セキュリティ態勢は万全を期していたのか?」と説教できるだけの、タリバンについての知識があるわけ?たとえばソ連の侵攻以降、アフガンはずっとほぼ内戦状態になっていたのであって、にもかかわらずペシャワール会は25年間も犠牲者を出さず、かつ世界的に求められるような実績を出してきた。そのような人々に対して、恐らく日本という「安全な」場所で暮らしてきた人間が、「油断はなかったのか」「憲法9条がこの世になければ、ペシャワール会並びに伊藤さんは、もっと身辺警戒していたかもしれません。」など、それこそ9条を持ち出しているだけで(まあこの人が9条嫌いなんでしょ、どうせ)、あたかも対象を認識が甘いお花畑にいるような人物のように言う筋合いは本当に無いと思う。
そもそも、最近のアフガニスタンの治安の悪化って何が原因っつったら、まさに2001年の9.11以降におけるアフガニスタン侵攻に他ならないわけで、もちろんそれ以前からペシャワール会はずっとアフガニスタンで活動してきた。そして、アフガニスタン侵攻には日本も加担しているわけで、ここで初めて日本(国家)とタリバンは明確に敵対することになった。
このような事実を年表的に追っていくだけでも、タリバンがもしそれまで友好的に付き合ってきた日本人NGOを殺すほど先鋭化したとすれば、その先鋭化をつくりだしたのは誰かまで考えなければいけないことに気づくはずだ。
治安がよかろうがわるかろうが、アフガニスタンにとってペシャワール会は必要だった。「政治」が危機をつくりだしておいて、状況を悪化させておいて、その「政治」の加担者である日本国民である我々が、そのことについてまったくさしおいて、ペシャワール会の「油断」を問題視するのは余りにも傲慢で、醜悪だ。