「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を読む4

・第4章 近代日本の進出>1.欧米の進出と幕府の危機>41欧米列強のアジア進出
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 産業革命と市民革命は,欧米の社会に個人の自由を広げ,物質的な富をもたらした。しかし,自由の拡大は人々の欲望を高め,工業社会の成功は,階級の対立や貧困というわざわいを引きおこした。

「自由の拡大は人々の欲望を高め」フクヤマ?あ、フクヤマは逆か。よくわからん記述だよなあ。「市民革命」と「欲望」の関係を、19世紀において重要視している歴史家っていたっけ?「産業革命」と「禁欲」の関係だったら分からなくもないが。これって、ただの筆者の思い込みじゃねーの?

欧米諸国は,急速な近代化にともなう国内の問題点を自国の外で解消するために,安い原料の確保や自国の商品を売る市場を求めて,アジアやアフリカの植民地獲得にはげんだ。

このへんはちょっと難しいよねえ。少し経済史偏重の立場から言えば、「国内問題解消のための」領土拡張と、「国民経済のための」領土拡張は、リンクする場合が多いが、基本的には別と考えたほうがいいかも。

産業革命と市民革命は,西洋の近代化をおし進める原動力となったが,一方で,経済的拡張や領土拡大への野望をかきたてる要因ともなったのである。こうして欧米諸国は,「列強」という世界の強国の道を歩み始めた。

「市民革命」が領土拡大への野望をかきたてる要因になったというのは難しいと思われる。領土拡大によって得た収益の再分配を求めて、市民革命的な理念が持ち出されることはあったが。

軍事力の格差

歴史学的な重要性として、一つの項をさいてこれを記述する意味が全く分からない。まあ、次の「欧米の植民地進出」で日本を「好戦的な欧米によって平和を脅かされた被害者」に仕立て上げるための布石だろうけどね。ところで、84%には日本の「植民地」も含まれているのだろうか。*1含まれていなかったら詐欺だよなあ。

*1:あー、「韓国は併合されているので植民地ではない」という言葉遊び禁止。あらあら禁止。うふふも禁止。